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顧客には将来のモータ設計を形作る影響力があります。
小型モータの仕様を決定する場合、アプリケーションの設計者は必ず、速度、トルク、コストを慎重に検 討する必要があります。しかし、技術の進歩により、従来のモータ設計の限界を押し広げる新たな課題 が生まれています。たとえば、ロボットアームや収縮型医療機器には、限られたスペースにフィットする高 性能モータが必要となります。その他の用途でも、使い捨て装置で使用しても十分な費用対効果がある 高速モータが求められる場合があります。そして、用途に特有の要件を満たすように微調整されたカスタ ムモータが、より多くの用途で必要となっています。
顧客の要件は常に変化し続けているた め、モータメーカーも変化せず現状維 持のままでいるわけにはいきません。 真に顧客中心であるためには、エンジ ニアの意見を聞き、将来的な要件に適 合するモータやモーション技術を再考 および革新しなくてはなりません。
そのため、当社の製品開発プロセス は顧客の見識に基づいています。当社 は顧客の声に基づくプロセスを通じて ユーザの技術的洞察を活用し、革新的 なモーション製品に応用することで、 顧客の重要なアプリケーションに発生 する複雑な問題を解決できるようにしています。 このようなコラボレーションはポルテスキャップ の各種製品プラットフォームに展開され、それら すべてが100パーセントカスタマイズ可能となっ ています。また、検索最適化技術を活用すること で、顧客の検索内容から革新の機会が得られた り市場投入できたりする可能性があるかどうかを 判断しています。
顧客に触発されたイニシアチブが開始すると、当 社は十分に確立された評価の高いステージゲー ト製品開発プロセスを使用します。このステージ ゲートプロセスでは、明確に定義された行動リス トを用いて、製品アイデアをコンセプトからビジ ネスケース、生産に至るまで実現します。さらに、 リーン生産方式の原則に基づき、製品アイデアが 拡張可能かどうかも判断します。生産の各段階で はそれぞれのチームが責任を持ちながら、その過 程でユーザのレビューやフィードバックを確認して います。
顧客の声に基づく当社のプロセスでは、顧客の 意見を聞いてまだ満たされていないニーズに対 応することで、革新的な新しいモータプラット フォームを数多く生み出しています。その例をい くつかご紹介します。
ロボットやライフサンエンスなどの産業用アプリ ケーションに対するイノベーション
BLDCモータは、耐久性が高く長寿命で高速動作 が可能なため、ロボットの設計者に好まれていま す。また、BLDCモータは設計サイズの縮小にも役 立ちます。当社はユーザのフィードバックを元に 独自のU型コイルを開発し、大型の銅製接続部品 を一体化することで、標準的な直線型コイルより も高性能でありながら小型サイズで鉄損を最小 限に抑え、より良い効率と発熱の少ない動作を 実現しました。実際、この設計によって2極モータ が可能となり、同じサイズのモータよりも30パー セント高いトルクを提供できました。U型コイル を使用したスロットレスBLDCモータは、高速、高 トルク、またはその両方のバランスをとった形に カスタマイズできます。
ロボット用途で一般的なもう一つの要件は、優 れた動的レスポンスです。ロボット用グリッパに は、ステッピングモータが提供する高速で正確 な増分制御と、DCブラシレスモータに特有の速
このモータプラットフォームは、単に薄いシート状のレア アースマグネット材料をディスク形状で使用することで高 いステップ分解能を可能にし、グリップ用途に対して優れ た動的レスポンスをもたらします。 |
両方のモータタイプの利点を実現する新たな方 法があります。それは薄いシート状のマグネット 材料をディスク形状で使用しながら、レアアー スマグネットの力を活用する方法です。このコン セプトにより、一定のエンベロープの永久磁石ス テッピングモータよりも高いステップ分解能を 可能にし、慣性が低いことで非常に高い加速度 が得られるとともに、鉄損の小さな短い磁気回 路によって従来のステッピングモータよりも早い トップスピードが得られます。
このアクチュエータは、低慣性ディスクマグネットモータ 技術により、同じ薄型パッケージで直線的な急加速と急 減速を可能にします。 |
また、低慣性ディスクマグネット技術をアクチュ エータにも採用することで、単一の薄型パッケー ジで直線的な急加速と急減速を可能にし、プロ セス時間を短縮できます。つまり、エンジニアは 複雑なアプリケーション課題を解決しながら設 計を簡素化できるのです。
機械が直線運動と回転運動の両方を行う場合 は、それぞれのモーションタイプに個別のモータ 制御部品が必要になります。しかし、そのような 設計はかさばって複雑になるため、スペースに制 約のある自動化装置やロボットには望ましくあり ません。直線運動と回転運動を同時に可能とす る革新的な方法の1つは、軽量でコンパクトな1 つのパッケージ内で2個の永久磁石ステッピング モータを組み合わせ、よりシンプルな設計にする ことです。
デュアルモーションキャンスタック型アクチュエータ は、1つのパッケージ内に2個の永久磁石ステッピング モータを搭載することで、直線運動と回転運動を同時 に実現します。 |
アクチュエータの設計により、シャフト回転なしで のあらゆる方向への純粋な直線運動、シャフトの 軸に沿った並進運動なしでの時計回りまたは反 時計回りの純粋な回転運動、または直線運動と 回転運動をあらゆる方向で同時に組み合わせる ことが可能になります。
医療および外科用途に最適なイノベーション
小型モータを必要とする小型医療機器で故障は 許されません。ところが、ブラシ付きDCモータは 摩耗にさらされ、機器の信頼性に影響を及ぼし ます。機械的摩耗は、ブラシの厚さが減少する原 因となります。磨耗による故障の可能性をユーザ に警告するために、電源とモータの間で接続部 のある場所に端子を追加しました。ブラシの厚 さに関するデータが機器のコントローラからネッ トワークに送信されるため、モータをモニタリン グできます。このスマートプラットフォームは特 に、医療用ポンプ、X線機械、実験室用分析器な どのヘルスケア用途および、産業用ポンプや信頼 性が重要なその他の小型電動装置に最適です。
高い回転数が求められる用途には、高回転DCブ ラシレスモータが魅力的な選択肢となります。し かし、使い捨て装置でBLDCモータが数分間だけ 動作すれば良い場合などは、高回転はコストに 見合いません。アテローム切除術で使用されるよ うな使い捨ての手術用小型ツールが広まるにつ れ、経済的な高速モータのオプションも必要と なっています。当社はそれに応じて、ブラシ材料と ボールベアリングを変更した新しいブラシ付きコ アレスモータのコンセプトを開発し、寿命の短い 装置で高速動作を可能にしました。
ポルテスキャップのAthlonix DCPブラシ付きDCコアレスモータは、スリーブを追加することでステータの直径を大きくし、トルク性能を向上させることができます。 |
その結果、回転数は10,000rpmを超え、廃棄前の数分間では40,000rpmに到達することも可能になりました。また、設計の最適化によってEMIも最小限に抑えられました。これは、顧客がブラシ付きDCモータを検討する際に重要な問題となっていたものです。
ポルテスキャップのイノベーションで現在と将来の課題を克服
新たに出現したモーションプラットフォームやモータプラットフォームは設計者の課題に端を発し、ポルテスキャップは今後3~5年間で何が可能かということに焦点を当てています。満たすのが困難なトルク要件や速度要件を持つロボットを設計する場合でも、高速で費用対効果の高いモータを必要とする重要な医療用使い捨て装置を設計する場合でも、ユーザの見識が小型カスタムモータの開発に役立ち、現在直面している課題に対応しつつ将来の設計を形作ることが可能になるのです。