これまで義肢は固定式の付属物であり、装着者に対して制限された動きを提供するか、動かすことのできないものでした。今日の義肢はハイテク素材で作られていますが、かつての木製の義肢と同じく受動型の人工装具であるため、使用者は今でも正常歩行ができません。

しかし、新たに開発されたマイクロプロセッサ制御の膝関節・足首用義肢は小型DCモータの技術を活用しているため、使用者は自然な動きによく似た形で歩ける可能性が得られます。このような能動型義肢は、足を失った人々にさらなる移動の自由、安全性、快適性をもたらします。

能動型システムで移動の安定性と効率性を実現

腱や筋肉は、体に備わった自然の減衰システムです。人間が一歩踏み出す動作に足の動きを合わせ、正しい動作をもたらします。これは、人間の体重やバランス、およびランニングやクライミングといった動きの種類に応じて、体がすばやく自動的に行ってくれます。受動型の義肢システムはこのような自然な動きを再現できないため、足を失った人々は歩くとすぐに疲れ、日々繰り返される通常の活動を維持するのに苦労してしまいます。

能動型のシステムは、より良い選択肢をもたらします。インテリジェントなマイクロプロセッサを搭載した能動型義肢は、安定性能や状況認識の向上といった、高度な技術的機能を提供します。このようにスマートな人工膝関節や人工足首により、使用者は速度にかかわらず高い安定性と効率性でさまざまな形状の地面を歩行でき、難しい地形でも乗り越えることが可能になります。また、能動型のシステムは電磁誘導充電技術を採用することでコードが不要となり、耐久性の高い構造によって5,000時間や2年間もの間、信頼性の高い動作を実現します。その結果、装着者の利便性と使いやすさが向上します。

一般的な能動型義肢システムの設計

能動型義肢は、受動型装置に比べて非常に複雑で す。一般的に、マイクロプロセッサの他にも、特に モータや減衰システム、バッテリーなど、機械部品と 電気部品の両方を搭載し、それらを足の接合部分と 連動させることで、より自然な歩行を実現します。

マイクロプロセッサは、動作段階に関するライブ データを高解像度の角度センサや圧力センサから 受信します。その情報を使用して油圧減衰機構を適 合させ、高性能な小型DCモータによって減衰ばね力 をリアルタイムで機械的に調整します。能動型の人 工膝関節や人工足首の設計には、以下の要素を提 供できる小型モーションシステムが求められます。

エンドユーザーの快適性とバランスの取れた動 作に必要な小型サイズと軽量設計
低慣性による迅速な応答
フィードバックセンサ
低ノイズ動作
耐衝撃性と耐振動性
約5,000時間 (または2年間) の動作寿命

義足はその複雑さにもかかわらず、足を失ったでき るだけ多くの人々が使用できるようするため、安価 でなくてはなりません。以上のニーズをすべて満た すために、能動型義肢には通常、DCモータ、ギヤ ボックス、エンコーダを備えたモーションシステム が搭載されています。

ブラシ付きDCコアレスモータは小型サイズで高いパ フォーマンスを発揮

コアを備えたブラシ付きDCモータはこの用途に対し て経済的な選択肢となりますが、貴金属整流を備え たブラシ付きDCコアレスモータは、より小型サイズ の軽量ユニットで同様のパフォーマンスをもたらし ます。能動型義肢に使用するブラシ付きDCモータに は、次のような利点があります。

小型サイズ。 小型の軽量モータにより、装着者 にとって義肢の快適性が向上します。ブラシ付き DCコアレスモータには、コア付きモータよりも最 大30%小型サイズのものが用意されています。
スムーズな回転。 ブラシ付きDCコアレスモータ には、コア付きモータで一般的なコギング効果 がないため、スムーズで静かな動作と優れた操 作性をもたらします。
簡単に統合。ブラシ付きDCコアレスモータをギ ヤボックスやエンコーダと組み合わせて小型の アセンブリを作成し、必要なスペースに簡単に 適合できます。
高いシステム効率。 能動型義肢の使用者は、日 中の間に装置を再充電したくないと考えていま す。ブラシ付きDCコアレスモータは電流値が低 く鉄損がないため、バッテリー充電が一日中持 続し、再充電の煩わしさを回避できます。
耐久性の高い構造。 このようなモータを使用す ることで、能動型義肢は日常使用の衝撃や振動 に耐えられます。

能動型義肢システムの設計者は、費用対効果に優れ たポルテスキャップの13Nブラシ付きDCコアレスモー タをR13ギヤボックスや磁気式エンコーダと組み合 わせたアセンブリを使用することで、これらの利点を 活用できます。13Nモータは最大3.3 mNmの連続トル クを生成し、ギヤボックスは最大0.5 Nmのピークトル ク出力をもたらします。コアレスモータ技術と遊星ギ ヤボックスを組み合わせることにより、直径13 mmの 小型サイズで優れた出力密度を実現し、75%という 高効率でバッテリー充電の持続時間を延ばします。

さらに、高い耐久性も誇ります。13N小型DCモータ は、機械加工されたメタルチューブボディ、強力な整 流システムによる長い動作寿命、プラスチック製ギ ヤボックスよりも耐久性に優れた金属ギヤボックス を特長としています。統合された磁気式エンコーダ は、厳しい環境で光学式エンコーダよりも高い耐性を示します。さらに、このアセンブリは -15~+85°Cの幅広い温度範囲で動作し、日常使用で発生する衝撃や振動にも耐えられます。高性能ベアリングと低速でのスムーズな動作によってノイズが大幅に低減されるため、このアセンブリは高度な義肢に最適な選択肢となります。

義肢の用途に合わせてモータやギヤボックスとエンコーダの組み合わせを選択する際は、小型モータのメーカーと緊密に協力してください。メーカーは、必要なトルク要件に最適なモータを提案できるだけでなく、カスタムリード線、出力シャフトの直径や長さ、シャフト取り付け部、修正コイル、特殊ハウジングなどのニーズに応じてモータをカスタマイズすることも可能です。

足を失った人々の移動に関する課題を解決

ポルテスキャップのモータおよびモーション製品は、小型サイズ、低ノイズ、軽量、高出力密度、高効率、高信頼性および、義肢メーカーがマイクロプロセッサ対応の革新的な人工膝関節や人工足首を開発できるコストの最適な組み合わせを提供します。ブラシ付きDCコアレスモータの技術をベースとしたモーションデバイスの利点を、能動型義肢のシンプルで安全な電磁誘導充電と耐久性の高い構造と組み合わせることで、足を失った人々が従来の義肢で直面していた課題を軽減し、生活の質の向上を支援することができるのです。

お客様のプロジェクトに最適なモータについて

図2. ポルテスキャップの13Nブラシ付きDCコアレスモータ (左) をR13遊星ギヤボックス (右) と組み合わせることで、 高い出力密度と効率を提供し、能動型義肢のバッテリー動作時間を延長します。
図3. ブラシ付きDCコアレスモータ、ギヤボックス、磁気式エンコーダを使用して、義肢に簡単に適合する小型で丈夫なアセンブリを作成します。