モータ技術の選択: 評価要素

モータはモーションシステムの基幹部品ですが、ア プリケーションに最適なモータを選択することは容 易ではありません。モータには検討すべき様々な技 術がありますが、それぞれの技術には特徴があり、 設計に与える影響も異なります。速度、トルク、寿 命、機械的安全動作範囲、精度、デューティサイク ルなどの要素によって、DCブラシレス、DCコアレス、 ステッピングモータの中から選択するモータが決ま ります。本記事では、お客様がアプリケーションに 最適なモータ技術を選択できるよう、これらの重要 な検討事項を再確認します。

モータ速度と出力トルク

モーションシステムの出力速度要件は、モータを選 択する際に最初に考慮すべき要素の1つです。DCブ ラシレスモータは高速動作に最適です。DCコアレス モータは適度な速度であれば問題なく動作します が、高速になるとブラシ摩耗が発生し寿命が短くな ります。ステッピングモータは電子整流式ですが、 極数が多いため低速動作に適しています。

モーションシステムで考慮すべきもう1つの要因は、 動作中の限られた時間における連続トルクとピーク トルクの両方に焦点を当てた出力トルク要件です。 異なるモータ技術によって、最大連続出力トルクの 能力が異なります。しかし用途によっては、3種類の モータすべてが必要な出力トルクを発揮できる場 合もあります。またギヤヘッドを追加してモーション システムの出力トルク能力を向上させることもでき ます。ギア比に応じて出力速度も低下することに注 意してください。

動作寿命

通常、モーションシステムの動作寿命は、1日当たり のサイクル数、1サイクル当たりの時間、または1日当 たりおよびデューティサイクルごとの稼働時間で定 義されます。この情報をもとに、モーションシステム が予想される製品寿命にわたって稼働するのに必 要な最大時間数を決定できます。この予測によって モータを選択します。ブラシ付DCモータは機械的 な整流システムを備えているため、経年劣化により 寿命が短くなります。一方、DCブラシレスモータやステッピングモータは電子的な整流システムを備えて いるため、経年劣化がなく、寿命が長くなります。

ベアリングもまた、モーションシステムの寿命に影 響を与えます。スリーブベアリングは数千時間の 寿命ですが、ボールベアリングの寿命は一般的に1 万時間以上です。もちろん、モーションシステムの シャフトにかかるラジアル荷重と軸方向荷重は、規 定の設計限界値内に収まっていなければなりませ ん。また、システム内の熱が上昇すると、潤滑油の 寿命に悪影響を及ぼす可能性があります。

機械的安全動作範囲およびシステム精度

要求される機械的安全動作範囲を実現するには、 まず選択したモータ技術がそのスペースに収まる 直径と長さなのか確認する必要があります。速度と トルクの要件は、多くの場合、1つまたは複数のタイ プのモータで、さらには同じ技術の中の様々なモデ ルでも満たすことができますが、モータの電力能力 がアプリケーションに十分であることを確認する 必要もあります。

システムの精度に関しては、ブラシ付きDCモータも DCブラシレスモータも、ロータの位置を追跡して制 御するためのエンコーダが必要です。標準的なエン コーダは、様々なアプリケーション要件を満たせる ように同一パッケージサイズで幅広い分解能を提 供します。モータの前側にギヤボックスを追加する ことでも分解能を高めることができます。分解能は ギア比を乗算して導かれるため、エンコーダとギヤ ボックスの乗算器を組み合わせることで精密な位 置決めが可能になります。

ステッピングモータは、高い精度の位置決めを実 現できる構造になっています。ロータの極数によっ て回転あたりのステップ数が決まります。モータに 入力されるパルスにステップ角が発生します。通常 ドライバは、機械的なステップ間に中間の電気的 ステップを設けるハーフステップやマイクロステッ プによって、この分解能を高めることができます。 また、オプションのギアボックスを使用して、ギア 比に応じた幅広い分解能を得ることもできます。

デューティサイクル

一般的にモータは、アプリケーションで連続して動 作させることはありません。通常はある一定期間稼 働(オンタイム)して、一定期間休止(オフタイム)しま す。デューティサイクルを検討する際には、モータ の温度上昇に注意が必要ですすべてのモータには 最大定格温度が設けられており、その温度を超え て運転すると内部部品の破損につながります。モー タの消費電流量は温度上昇に影響を与え、電流量 が多いほど温度上昇は早くなります。

電流はモータのトルク出力に比例するため、モータ 全体のサイズを極力小さく保ちながら、電流を増加 させてトルクを増加させたくなりますが、モータの 最大動作温度を超えないようにするために、サイク ルのオンタイムを調整する必要があることに注意し てください。

最後に、デューティサイクルに影響を与える環境要 因についても忘れてはなりません。モータは放熱仕 様のベースに取り付けるのか?モータ周辺の空気の 流れは、冷却するのに十分なものか?周囲温度を高 くするような発熱部品のある筐体にモータを設置 するのか?

据え置き型とポータブル型

モータを固定する場合は、サイズや重量の自由度 が高くなります。アプリケーションに必要な性能特 性に、より重点を置くことができます。バッテリー 駆動の可動装置や移動式装置では、モータの消費 電流が重要となります。モータが性能要件を満た している間は、消費電流が少ないほど、充電までの バッテリー稼働時間が長くなります。バッテリー駆 動の装置では、モータのサイズや重さを優先的に 考慮してください。

このように、あらゆるアプリケーションにおいて、 モータの選択時に多くの要素を考慮する必要があり ます。アプリケーションに最適なモータ技術を決定 する際には、すべての要素を慎重に検討し、それら がモータの性能にどのように影響するかを把握する ことで、最適な製品を開発できるようになります。

お客様のプロジェクトに最適なモータについて

多様な技術でアプリケーションのニーズに応えます