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外科用デバイス設計の課題を解決するためのミニモータ技術ソリューションの選択に関する考慮事項
背景
電動外科用ハンドツールは、手術室における主力装置です。何十年もの間、外科医やデバイスメーカーは、滅菌可能 なブラシレス直流(BLDC)モータに依存して、外科用ハンドツールのトルク、速度、お よび信頼性の要件を満たしてきました。外科用ロボットとロボット支援の外科用デバイス の進歩に伴い、デバイスメーカーは厳しい要件を満たすために引き続きBLDCモータに期 待を寄せています。モータと動作はロボット工学の中心ですが、外科用ロボット工学に おけるモータの要件は、従来のロボット工学と従来の外科用ハンドツールの両方の典型 的な要件とは多少異なります。
デバイスの性質に関係なく、外科医には信頼できる滅菌 ツールが必要です。厳しい現場での使用や再処理におけ る再三の蒸気滅菌に耐えうる、信頼性が高く一貫して機 能するデバイスが求められています。
信頼性の要件以外にも、外科用デバイスの設計者は正確な速度とトルクの要件、温度 やその他の制約、または極端な位置制御の要求など、解決するべき難しい動作の問題 を抱えています。デバイスメーカーは、完全に用途に適合した動作制御ソリューションを 必要としています。このようなソリューションはツールと統合し、的確なトレードオフを行っ て性能を最適化するように適切にカスタマイズされている必要があります。
手術室の減菌フィールドを維持し保存する方法
感染症、相互汚染、病気の蔓延はすべて、手術室における重要な懸念事項です。以下は、滅菌フィールドでツールを 保護するための最も一般的なアプローチです。
使い捨てツール
1つのアプローチとして、病院が使い捨てツールを利用することが挙げられます。これらは一般的に安価なモータ(長 寿命は必要ありません)とプラスチック部品を使用しています。使い捨てツールは、各手術後に廃棄する必要があり ます。このアプローチでは再処理を簡素化でき、ツールのメンテナンスの必要が無くなりますが、ツールの一貫した 供給を維持する必要があり、また病院が生成する有害廃棄物の量が増加します。さらに使い捨てツールは、再利用 可能なツールの全寿命と比較すると、通常は最も経済的な選択肢とはなりません。
滅菌不要部品を使用した滅菌のモジュール設計s
別のアプローチは、露出した部品を滅菌し、他の部品は滅菌しないようにデバイスを設計することです。たとえば、 BLDCモータと付随するコントローラとバッテリーパックをデバイス内に配置して、病院のスタッフが滅菌前にツールか らモータとバッテリーパックを取り外すようにします。このアプローチでは、再処理するツールが適切に滅菌されるよ う、特別なプロセスを正しく実行する必要があります。また、システムからのモータとバッテリーの取り外しと再接続 が繰り返されるため、設計段階でより耐久性のある電子部品と接続が要求される場合があります。
保護バリア
さらに別のアプローチとして、ロボットアームや器具を(通常は使い捨ての)減菌バリア、例えばプラスチック製の 覆いや「クラムシェル」で覆う方法があります。正しく実施すると、バリアが減菌フィールドを明確に規定するので、フィー ルド外の部品を再処理する必要がなくなります。このアプローチは、システム全体をオートクレーブ処理することがで きないような、大規模な外科用ロボットシステムに適した設計コンポーネントです。またロボットシステムの人間工学 的要件は、従来のハンドツール手術とは異なります。たとえばモータが外科用エンドエフェクタから物理的に離れて おり、ケーブルドライブを介して動作を伝達する機構など、外科医がハンドツールを正確に操作して繊細な作業を実 行する従来の外科手術には適さない場合もあります。この設計アプローチは、歯科やタトゥー用途など、滅菌要件 がそれほど厳格でない医療処置にも一般的であることに注意してください。このアプローチにはマイナス面もありま す。体系的な取り外しと交換を必要とする複雑なドレーピングスキームにより、手術室を手術に使用する時間が大幅 に増える可能性があります。またドレーピングはかさばり、扱いにくく、手術室での視認性を低下させ、人間工学的 に悪影響を及ぼします。
オートクレーブ可能なモータソリューション
最後のアプローチとして、モータを含むすべての部品を滅菌できるようにデバイスを設計するという方法があります。 30年ほど前の滅菌可能なBLDCモータの導入により、ツール全体に滅菌処理を施せるようになり、ツールの設計者は、 減菌性を確保した上で高出力で人間工学に基づいたツールを生産できるようになりました。この利点は、一般に小型、 高出力、高耐久性、高効率、低ノイズ、長寿命の減菌パッケージを必要とするロボット支援の外科用デバイスにも 引き継がれています。
外科用デバイスのオートクレーブ可能なBLDCモータ設計
従来のモータ駆動ハンドツールとロボット支援による外科用デバイスではどちらも、スロット付きまたはスロットレスを指 定したいわゆる「インランナー」BLDCモータ(ロータが固定されたステータ内で回転する)を使用して、スロット付きま たはスロットレス構成でBLDC技術を活用できます。スロット付きとスロットレスは、モータのステータの積層タイプを指す ことに注意してください。どちらの技術にも長所があります。用途の要件によって、モータ設計により適した技術が決ま ります。
スロット付きBLDC技術は、30年以上にわたって外科用モータ市場で実績のあるソリューションです。スロット付き設計で は、スロット内に銅製コイルが巻かれています(図4)。コイルは積層スタックのスロットに挿入する際に保護する構造 になっています。モータの性能に影響を与えることなく、追加の絶縁層と成形材料を簡単に追加できます。この物理的 な構成により、スロット付きBLDCは厳しい環境条件に対する強固な耐性を必要とするモータにとって理想的な技術となっ ていて、オートクレーブやモータを生理食塩水やその他の汚染物質に曝す手術にも使用することができます。さらに、 スロット付き設計により以下が可能となります:
- 電磁気学的なカスタマイズが簡単(巻線、積層スタックの長さなど)
- 非常に高い絶縁抵抗を実現(1,600 VACハイポット以上)
- 熱放散の改善によるより高い連続トルク
- 小さな磁気エアギャップにより、より薄い磁石の使用を可能にし、より高いパーミアンス係数を実現(よっ て広い温度範囲でトルクが安定)
- ロータの慣性がより低下
もうひとつのBLDC技術であるスロットレスBLDCも非常に機能的で、用途によっては適している可能性があります。スロッ トレスモータでは、コイルは別の外部操作で巻かれた「自立型」タイプです(図4)。自立型コイルは、モータの組み 立て時にエアギャップに直接挿入されます。この設計ではエアギャップが大きいため、コイルの磁気誘導が減少します。 このようなモータの誘導は大抵の場合、スロット付きBLDCモータよりもはるかに小さいため、誘導の損失を補うために、 通常はより大きく強力な磁石が必要になります。スロットレスモータは、露出した電子部品の絶縁やその他の保護コー ティングにより、蒸気滅菌に耐えるように設計できますが、厳しい環境条件下での長期にわたって信頼できる保護の実 現は、スロット付きモータに比べて本質的に困難です。オートクレーブや非常に多数の滅菌サイクルが必要でない場合、 スロットレス設計には、特定の用途に有利であると考えられる側面があります。ilisation ne sont pas une nécessité, certains aspects de la conception sans encoches peuvent être avantageux dans une application donnée :
- ディテントトルクがゼロ(コギングなし)
- 超高速でのスムーズな作動
- モータの慣性が増大
- 高いピークトルク能力
正確な動作制御
一部の外科的処置またはデバイス設計アプローチには、非常に高精度なモータ制御が必要になる場合があります。ロ ボット支援による外科用デバイスがその例で、高度なセンサ、視覚システム、触覚フィードバック、または3次元マッピン グを利用して、ミリメートル未満の精度で標的物を操作する必要があります。手術を成功させるには、モータ出力の非 常に高精度な制御が必要になる場合があります。精度要件は、60度単位でロータ位置を検出できる従来のホールセン サが提供する要件を超える場合があります。エンコーダを使用すると、速度の制御と1度以下の単位でのロータの位置 情報のフィードバックを提供できます。
エンコーダにより、3つのホールセンサを使用するよりもはるかに高い精度でロータシャ フトの角度位置測定が可能になります。このようなフィードバックは位置制御や、BLDCモー タの制御における精度の向上に役立ちます。位置測定の結果から、速度、加速度、方 向をすべて推測できます。エンコーダを探すときの最初のステップの1つは、必要な精度 と解像度を決定することです。技術タイプも選択する必要があります。光学式と磁気式は、 ロータリーエンコーダに使用される最も一般的な技術です。通常、外科用ツールなどの オートクレーブが必要な用途では、磁気エンコーダが堅牢で信頼性の高い選択肢となり ます。インクリメンタル方式またはアブソリュート方式でのフィードバックは、角度の値を 伝える2種類の一般的なオプションです。インクリメンタル方式を使用する場合は、1段階 の回転運動に1回のインデックスパルスと、絶対角度位置を計算するためのカウンタが必要で、それがなければフィード バックは相対値になります。アブソリュート方式でのフィードバックでは通常、0~360度のエンコードされた角度の値を 伝えるために、SSI、SPI、BiSSなどのシリアル通信回線を使用します。
オプションは次のとおりです。
- 減菌オプション - 2,000回以上のオートクレーブサイクルに対応した設計と試験
- 6ステップ整流のホールセンサ信号(U、V、W)
- 10ビットインクリメンタルエンコーダ(A、B、Z)
- 11ビット解像度のアブソリュート角度エンコーダ
- SPI経由のアブソリュート位置出力
- ノイズの多い環境にも適した差動出力
- 軸外実装により、挿管が可能
結論
現代の外科用デバイス – 従来のハンドツールとロボット支援によるデバイスの両方 – は、非常に厳格で正確な動作要件 が求められています。これらの要件は、必要な幅広い技術と、従来の外科用ハンドツールとロボット支援による外科用 デバイスの両方での豊富な経験を持つモータ供給業者と協力することで満たすことができます。
ポルテスキャップについて
ポルテスキャップは、ミニチュアブラシレスDC(スロット付きとスロットレスの両方)、ブラシ付きDC、ステッパ、リニア アクチュエータモータ、およびギアヘッド、エンコーダ、コントローラなどの関連コンポーネントのメーカーです。ポル テスキャップは、電動外科用ハンドツールおよびロボット支援による外科用デバイスの滅菌対応モータの大手供給業者 です。ポルテスキャップによる滅菌可能なスロット付きBLDCモータは、考えられるあらゆる外科的用途で、世界中の何 千万もの手術で使用されています。当社のエンジニアリングチームは30年以上にわたり、滅菌可能なモータの設計を継 続的に改善してきました。このモータは3,000以上のオートクレーブサイクルを超えてなお作動することが分かっており、外科用デバイスの耐用年数をはるかに超えています。ポルテスキャップは、シャフト挿管、新規の電磁気設計、取り付 け機能、カスタムギア比、ピン接続とフライングリードなど、外科用デバイスのニーズに合わせた完全なモータのカスタ マイズを提供します。業界を熟知したポルテスキャップの設計エンジニアは、お客様のチームと協力して、独自の外科 用ハンドツールや外科用ロボットアプリケーションのためにあらゆる機能をカスタマイズします。
外科用ロボット工学を目的とした典型的な ポルテスキャップのモータアプリケーション
- 関節鏡シェーバ
- 矢状鋸
- 振動鋸
- 整形外科用ドリル、中高速ドリル
- リード線ドライバ
- 外科用ステープラ
テックトーク
オートクレーブサイクルとは?
病院で使用される最も一般的な滅菌方 法はオートクレーブで、蒸気滅菌とも呼 ばれます。オートクレーブ中、外科用ハ ンドツールは100%の湿度、135℃(275ºF) の温度と圧力変動に最大18分間さらさ れます。ほとんどのオートクレーブは、蒸 気の浸透を促進し、デバイスの微細な空 洞の内部に隠れている細菌、ウイルス、 真菌、胞子を殺すための追加の真空サイ クルも備えています。この環境に繰り返し さらされると、通常、これらの条件に耐 えるように十分に設計されていないモー タやデバイスには重大な電気的問題や腐 食の問題が発生します。
プレポストバキューム方式クラスB オートクレーブサイクル