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エンジニアは、さまざまな業界および市場で重要な装置とアプリケーションの性能、効率、コンパクトさ を継続的に向上させることに全力で取り組んでいます。目標はイノベーションにおけるブレークスルーを 達成することだけではありません。不可欠なコンポーネントの性能と効率を継続的に進歩させることも目 指しています。
これは、多くの人々の命を救い、その生活を改善および強化するために不可欠な小型電気モータの世界で 特に当てはまります。モータの性能の重要な側面の1つはその効率です。モータの効率は機械力と電力の 比として定義されます。
効率はモータの発熱と電力消費に直接影響するため、利用可能なスペースを最大限に活用するには、細心 の注意を払って選定する必要があります。ここでは、BLDCモータの効率と損失、ならびにそれらがモータの 設計および選定プロセスにおいて果たす重要な役割について検討します。
BLDCモータのさまざまな損失
BLDCモータの目的は、電力(U*I)を機械力(T*ω)に変換することです。しかし、完璧なモータは存在しない ため、電力を機械力に変換する際には、主に摩擦損、銅損、鉄損の3種類の損失が発生します。
電力 – (摩擦損 + 銅損 + 鉄損) = 機械力
摩擦損。 。摩擦損は、ボール/ブッシュベアリングによって発生し、アプリケーションの用途(速度、負荷、加 速)と環境(温度やほこりなど)だけでなく、素材、摩耗、潤滑、シーリングなどのベアリング固有のパラ メーターにも依存します。
銅損。 銅損はジュール損とも呼ばれ、コイルの抵抗によって発生します。トルクは電流(T=k*I)に線形正比 例するため、モータが提供するトルクが大きいほど発生する銅損が大きくなります。これは以下の二次関 数に従います。
銅損 = R * I ²
モータが発熱すると抵抗が増加し、その結果、以下の方程式に従って効率が低下することに注意してくだ さい。
R=R0.(1 + γ. Δ温度)
-R0:常温(データシートに記載)での抵抗(Ω)値
- γ:抵抗係数(銅の場合は0.004/°C)
鉄損。 鉄損は誤解されやすいですが、モータの性能に大きく影響 します。鉄損は素材への磁束の変動の周波数に大きく依存します。 つまり、モータの回転が速いほど発生する損失が大きくなります。
この現象に関する理解を深めるため、簡単な実験を行うことができます。や や強磁性(銅またはアルミニウム)のチューブに磁石を投げ入れると、落下 する磁石の速度が予想よりもはるかに遅くなるという現象を観察できます。 チューブをプラスティックに変更するか、磁石を同じ大きさと重さの金属片 に置き換えることで、これを比較できます。
なぜこうなるのでしょうか。レンツの法則によると、磁石がチューブ内を落下 するとき、磁場の変化によって誘導電流が発生し、磁場の変化を妨げる方向 に流れます。これによって磁石の速度が低下します。
鉄損は以下の2つの現象によって発生します。
渦電流
➡渦電流 ファラデーの法則によると、導体に磁場をかけるとそこから電流が発生します。また、素材は特定の電気 抵抗を備えているため、ある程度の損失(R*I²)が発生します。
渦電流損=R..I²≅ C.B². f².t².V
• | Cはモータの設計と素材に依存する定数 |
• | Bは素材にかかる磁場(T) |
• | fは1秒あたりの磁気反転の周波数(Hz) |
• | tは素材の厚さ(m) |
• | Vは導体の体積(m³) |
上記の式により、この渦電流損の発生に大きく寄与しているパラメーターがわかります(図3)。当然のこ とながら、磁場反転の周波数は大きく影響します。モータの速度、磁場の強さ、さらには素材の厚さも重 要な役割を果たします。
素材の厚さの影響を減らすための効果的な方法は、コア素材にラミネート加工を施すことです。これによ り、電流が流れる経路が小さくなり、電流が1つの大きな電流になるのではなく、複数の小さな電流に分 割されます。損失は電流の二乗値に比例して発生するため、これは非常に効果的です((t/2 => i/2 => 渦 電流/4)。留意すべきことが1つあります。それは、電流が2つのラミネーション間を流れるのを防ぐため、 コーティングによって各ラミネーションを相互に絶縁する必要があるということです。
ヒステリシス
磁束が強磁性素材に反転されると、素材が磁化 および消磁されます。これにより、エネルギーの 損失が発生します。流束密度を減らすには、反対 の磁束を与えることで保磁力点を超える必要があ ります(図4)。
この損失は主に回路の磁気誘導に依存していま すが、素材の性質(透磁性や体積など)と磁束変 化量の周波数にも依存しています。このため、適 切な速度を達成するには適切な素材を選定する のが重要です。
スタインメッツ方程式は、このヒステリシス損失を 計算し、各パラメーターの影響に関する理解を深 めるのに役立ちます。
ヒステリシス損失 = k * V * f * Bⁿ
• | kは素材に依存する定数 |
• | Vは磁気回路の体積 (m³) |
• | fは磁場の周波数(Hz) |
• | Bは時期回路の最大誘導(T) |
• | nは素材に依存する係数(1.6~2) |
高い性能を達成するためのさまざまな電気モータ 設計
電気モータで発生するさまざまな損失はモータの 最大出力を制限します。モータは、モータの設計に よって決まる特定の温度を超えると燃えてしまうか らです。つまり、特定の作用点(トルクと速度)に基 づいて適切なモータを選定することが重要です。
ジュール損失は主にトルクを生み出すときに発生し ます。一方、鉄損は一般に高速で発生します。特定 のモータで、速度が増加すると、可能な最大連続ト ルクが減少するのはそのためです(図5)。
極数の影響
磁石の極数を変更すると、モータの性能に大きく 影響する可能性があります。一般的に言えば、長い モータは2極で、高速で動作できます。ただし、極の 数を増やすとモータの最大トルクが増加しますが、 それと同時に鉄損も増加するため、最大連続速度 が低下します。
速度が同等である場合、鉄損は磁束の変動の周波 数に大きく依存します。そのため、極の数を増やす と、1つのモータターンの変動の数が増加します。渦 電流損は周波数の増分の二乗に比例して発生しま す。これが起こると、モータの効率がすぐに低下する 可能性があります。
モータの出力曲線は、気温25°Cでのモータの連続稼働の上限(損失を含む)を示しています。図6は、2つのポルテスキャップ製モータの比較を示しています。これらのモータはパッケージは同じですが、一方のモータは2極で、もう一方のモータは4極です。
4極モータ(22ECT60 – トルク最適化)がすぐにトルク機能を失う一方で、2極モータ(22ECS60 – 速度最適化)と比べて速度が増していることがはっきりわかります。
結論
電気モータを選定する際には、さまざまな損失を考慮することが重要です。モータの限界は熱であるからです。鉄損は、特に高速で、または複数極高トルク設計の場合にモータの効率に大きく影響します。ジュール損失と鉄損の比を最適化すると、エネルギーを節約し、改良された装置を開発できます。
ポルテスキャップはこのような特性を非常によく理解しており、 高性能で損失の少ないモータを設計できるよう細心の注意を払っています。1つの設計であらゆる用途に対応することはできません。そのため、ポルテスキャップのチームは、重要な作用点がある装置と用途に対応するモータテクノロジーの多様なポートフォリオを開発することに尽力しています。